生活習慣病とは
生活習慣病は以前成人病と言われていた疾患群で、「健康ではない食習慣・運動習慣・休養、飲酒、喫煙などが発症・進行に関与する疾患」を指します。
これらには高血圧、糖尿病、脂質異常症や脳卒中、心臓病、肥満症などが含まれます。
高血圧や糖尿病、脂質異常症等は最初から症状が現れず、知らず知らずのうちに病気が進行している可能性があり、日ごろから血圧や体重の確認、健康診断の受診が重要です。
疾患の発症・進行には遺伝的要因も関与する可能性はありますが、生活習慣の改善により発症予防・進行抑制が可能であり、患者様ご自身の行動変容が治療に最重要です。
高血圧
心臓から押し出された血液が血管を押す力を血圧と言います。この圧力が高い状態が続くと高血圧症と診断されます。
2025年現在、日本に高血圧患者は約4,300万人いると推定されており、成人の3人に1人は高血圧、またはその予備軍です。
そのうち、治療を受けている患者は約1,600万人と報告されています。
高血圧診断基準
| 測定する場所 | 高血圧と判定される基準 |
|---|---|
| 診察室血圧 | 収縮期血圧 ≥130mmHg 拡張期血圧 ≥80mmHg |
| 家庭血圧 | 収縮期血圧 ≥125mmHg 拡張期血圧 ≥75mmHg |
高血圧による弊害
高血圧が持続することで血管が硬くなり動脈硬化を引き起こし、以下のような重大な病気のリスクを高めます。
- 脳卒中(脳梗塞、脳出血)
- 心疾患(狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈)
- 血管疾患(大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症)
- 慢性腎不全
- 血管性認知症
など
高血圧の予防・治療
高血圧は受診・血液検査などの検査は必要なく、血圧計さえあればご自宅で確認できる疾患です。
以下の生活習慣の改善が基本的な治療です。
- 減塩:男性 7.5g、女性6.5g/日未満を推奨
- 野菜・果物(カリウム)の摂取:ナトリウム排泄を促進
- 体重のコントロール:目標BMI < 25
- 節酒・禁煙:日本酒なら1合未満/日で週1日以上の休肝日をもうける
- 適度な運動:有酸素運動を1日30分、または週180分以上
- 十分な睡眠時間の確保、ストレスに対する対処
生活習慣是正で改善しない場合は投薬治療の適応となります。
糖尿病
糖尿病は、インスリンという血糖を下げるホルモンの量が不足したり、効きが悪くなったりすることにより、血中ブドウ糖(血糖値)が慢性的に上昇する疾患です。
慢性的な高血糖は、血管や臓器にダメージを与え、様々な重大な病気を引き起こします。
糖尿病による症状がでたときにはすでに病気が進行していることがあり、無症状のときから定期的に血液、尿検査をすることが重要です。
早期診断、早期治療により合併症のリスクを減らすことができます。
2025年現在、日本に糖尿病が疑われる患者は約1,100万人(成人の約13%)いると推定されており、うち治療を受けている患者は約552万人と報告されています。
糖尿病診断基準
1回の検査で下記の2つ以上を満たす場合、また1つだけ該当する場合でも繰り返し該当すれば糖尿病と診断されます。
空腹時血糖、随時血糖、HbA1cは受診時の血液検査で確認できます。
| 診断項目 | 診断基準 |
|---|---|
| 空腹時血糖 | 126mg/dL以上 |
| ブドウ糖負荷試験2時間値 | 200mg/dL以上 |
| 随時血糖 | 200mg/dL以上 |
| HbA1c | 6.5%以上 |
糖尿病による弊害
糖尿病を治療しないでいると、元に戻らない下記のような重大な病気を引き起こします。
特に上の3つは糖尿病の3大合併症と言われています。
- 網膜症:進行すると失明につながる
- 腎障害:進行すると透析治療が必要になる
- 神経障害:持続するしびれや排尿障害、また認知症の進行につながる
- 血管疾患:脳卒中や脳梗塞、末梢血管障害につながる
- 易感染性:感染症にかかりやすく重症化しやすくなる
など
糖尿病の予防・治療
- 食事療法
適正摂取エネルギー量の維持、間食の制限。
野菜を食事の最初に摂る。ほか、海藻やキノコ類を多く摂取。 - 運動療法
有酸素運動(1日歩数8,000~9,000歩、週3回以上を目指す)。
レジスタンス運動(筋力トレーニングを週2~3回)。 - 節酒や禁煙をし、適正な体重の維持
生活習慣是正で改善しない場合は投薬治療の適応となります。
脂質異常症
脂質異常症は、血液中の脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、総コレステロール)の値が基準から外れた状態です。
HDLコレステロールの低下やLDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪の増加は動脈硬化を進める要因になります。
2025年現在、日本に脂質異常症の治療を受けている患者は約458万人おり、増加傾向にあります。
脂質異常症診断基準
- 10時間以上絶食した状態を空腹時と定義します。
- すべて血液検査で確認できます。
| 診断項目 | 診断基準 |
|---|---|
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
| トリグリセライド (中性脂肪) |
150mg/dL以上(空腹時) 175mg/dL以上(随時) |
| non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 |
脂質異常症による弊害
脂質異常症を放置すると、動脈硬化が進行し下記の合併症のリスク上昇につながります。
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- 心疾患(狭心症、心筋梗塞)
- 血管疾患(大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症)
など
脂質異常症の予防・治療
- 食事療法
適正摂取エネルギー量の維持。 肉の脂肪・バターなどを避け、魚、野菜、海藻、大豆製品を増やし、コレステロール摂取は200mg/日未満を目安に。 - 運動療法
有酸素運動:1日歩数8,000~9,000歩、週3回以上を目指す。 - 節酒や禁煙をし、適正な体重の維持
生活習慣是正で改善しない場合は投薬治療の適応となります。
基準値未満でも他の動脈硬化のリスクをお持ちの方は治療対象となることがあります。